竹くく





竹くく現パロ。



『溢れる。』


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『会いたい』




1行だけ。



その一言に全てをこめた。


寂しい、なんて感じることなんてなかった。

今までは。


ハチと会うまでは。











「おー、兵助!お待たせ!」



白い息。

冬になったな、と駆けてくるハチの口元を見て思った。


呼び出した駅裏の時計台。

日が落ちていく周りは薄く、カップルで溢れていた。



「どした?」



柔らかい笑顔で尋ねられる。

胸が苦しくなる。

大した用もないのに呼び出した。

ただ、会いたかった。

ハチを求めていた。




「ごめん」



思わず俯いて呟く。

周りから見たら奇妙な光景だろう。

男二人が向かい合って、何をするでもなく。




「へ?何がっ!?」



少し焦ったようにハチが俺を覗き込む。

呼び掛ける声も、肩におかれる手も、その全てが愛しかった。



「!」



ぎゅう、っとハチのことを抱きしめる。

普段ならば絶対に人前ではしない。


だけど今は。

カップルに溢れるこの空間で、少しの違和感くらい許して欲しかった。



「おゎ、兵助?本当どしたの」



肌を通して伝わる温もりに安堵する。

ハチに触れている。

そのことだけで幸せだった。


やんわりと髪に触れられ、そのままあのハチの手が頭を撫でていく。




好きで好きでたまらなかった。




初めてのその感情は喜びよりも胸が苦しくなる寂寥感を残してしまう。



「ハチ好きだ…好きだ」



この想いが全部届いて、同じだけ返ってくればいいのに。










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うちの兵助は竹谷が好き過ぎて情緒不安定なようです。